伊達軍曹のここだけSUV談義 第5弾。「輸入SUV」の魅惑とそれに対する葛藤

不肖わたくしこと筆者の自家用車はスバルXVである。2017年の年末頃、月賦にて購入した。2.0i-Lという中間グレードで、価格は、超細かい数字は覚えていないのだが見積もり総額が330万円ぐらい。もろもろ値引きしてもらい、結局は総額300万円ほどになったと記憶している。

そして、不肖わたくしは2017年型の現行スバルXVにウルトラスーパー大満足している。

走りはほとんど「群馬アウディ」とでも呼ぶべき素晴らしさであり、内外装のデザインも(スバル車にしては)とってもおしゃれ。そしてSUVゆえに荷物を載せたりするのも当然ながら得意ということで、わたし個人にとってスバルXVは「非の打ち所のない車」なのだ。

だがこのところ、XVを愛してやまない平穏無事な生活に少々の暗雲が立ち込めはじめている。暗雲というか「嫉妬の炎」のようなものがメラメラと……いや、まだボヤ程度ではあるのだが、燃え始めてしまったのだ。

現行ボルボXC60に乗る隣人への嫉妬

きっかけは、わたくしが住まう賃貸長屋に併設されている月極駐車場に「輸入SUV」が増え始めたことだった。

まずは、2つ隣の枠の人が「アウディXC60」を購入し、長屋の駐車場に停めるようになった。

XC60といっても、今や中古車が100万円ぐらいから買える先代のアレではない。栄えある「2017-2018日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した、ビカビカの現行モデルだ。

最初のうちは「うむ、○○さんはXC60を買ったのか。なるほど~」と思っただけで、特に何の感慨もなかった。

だがしばらくするうちに、さまざまな感情が湧いてきたのだった。

「スバルXVもなかなかいいデザインだけど、こうしてよく見ると、XC60のほうがやっぱカッコいいね。……これが北欧デザインと群馬デザインの差ってやつだろうか?」

「単に塗装の問題かもしれないが、使ってる鉄板もなんかXC60のほうが高そうだよなぁ……」

「まぁつまり現行ボルボXC60のほうが『金持ちっぽく見える』という話である」

「……同じ貧乏長屋に住んでいる身だというのに、なぜ○○さんは新車のXC60を買う余裕があり、我輩はXVで精一杯なのだろうか?」

「悔しい」

「生きているのがつらい」

「いっそ死のうか?」

等々、さまざまな思いが去来した。

まぁ最後の「いっそ死のうか?」という部分だけはフィクションだが、それ以外は完全なるノンフィクションである。

とはいえ、そのうちに「まあ人は人で、オレはオレだ」みたいに思えるようになり(正確にはそう思うように努力し)、2つ隣のボルボXC60のことはほとんど気にならなくなった。

新車のミニ クラブマンにも嫉妬。結果、メルセデスのSUVを買うことに?

だがそうこうするうちに今度はすぐ隣の枠のご家族が、とある輸入SUV(というか正確にはシューティングブレーク)の新車に買い替えた。ミニの現行型クラブマンである。

その納車風景を遠くからちらりと見ていた際は、

「まあしょせんはミニのクラブマンである。大して高い車ではない」

「遠目には新車に見えるが、よくよく見ればド中古かもしれないじゃないか。ド中古のクラブマンであるならばオレだって余裕で買えるよ」

等々と思っていたわたくしではあった。

だがその瞬間、実は手元のアイフォーンでちまちまググっていた。

その検索結果によると、ひとつ隣の枠に停まることになったミニ クラブマンはド中古ではなく「登場したばかりの特別限定車」だった。新車だったのだ。そしてそのお値段は、ちまちまググったところによればけっこう高かった。

忘れていた感情が蘇ってきた。

群馬産のスバルXVに乗っているより、どう考えても「小金持ちっぽい」「小金持ちゆえに幸せっぽい」新車のミニ クラブマンに乗るご家族に対する嫉妬の炎がメラメラと燃え始め、またもや、

「悔しい」

「生きているのがつらい」

「いっそ死のうか?」

と思うようになってしまったのだ。

だがそう簡単に死ぬわけにもいかないため、わたくしは「対策」を考えはじめた。

考えた結果、対策はすぐに練り上がった。

「じゃあオレはベンツの新世代SUVを買えばいい」というのが、わたくしが出した答えだった。

狙い目は「GLC200」

ボルボもいいし、ミニだってステキだ。だが問答無用の「ベンツ様」の前ではそれらも霞む。

そんなのは昭和的な価値観だって? ふん、知ったことか。笑いたければ笑うがいい。

だが笑われようが、時代が昭和から平成になり、そして令和になろうが、そういった「無意識に感じてしまうヒエラルキー」ってのはいつだって世界に厳然と、あるいは見えにくい形で、存在しているのだ。

だからわたくしはベンツを買う。ベンツの新世代SUVを買い、勝利するのだ。

まぁGLEとかGLEクーペあたりが金持ちっぽく見えていい感じだと思うが、都内ではサイズ的にちょっと邪魔くさいし、そもそも高くて買えないため、「GLC」で十分だろう。それも、最廉価グレードである「GLC200」で十分だ。

とはいえGLC200だって、新車で買おうと思えば車両本体だけで621万円はする。オプション装備やら諸費用やらまで合わせると、総額は650万円ぐらいだろうか? わからないが、だいたいそんなもんだろう。

そして当然ながら、自慢じゃないがそんな大金の持ち合わせはないわたくしである。

ならばどうするか、というと……「登録済み未使用車」または「元デモカー」を探せばいいのだ。要するに「超高年式・超低走行の中古車」である。

中古ならメルセデスも買えるが……そもそも買う必要はあるのか?

わたくしが調査したところによれば今、市場にはメルセデス・ベンツGLC200の元デモカーと思しき個体が大量にシコッている。それらであれば車両価格はおおむね450万円ぐらい、総額でも470万円ぐらいだ。

とはいえ470万円の持ち合わせも遺憾ながらないため、またもや「月賦」で買うしか手はない。

ということでシミュレーションをしてみると……意外と高いじゃねえか!

認定中古車の金利2.9%+残価設定ローンを利用できたとしても、男の60回払いにおける筆者独自計算値は「月々4万5000円ぐらい」ということになった。

もちろん月々4万5000円程度のはした金が払えないわたくしではない。ナメてもらっては困る。

だが……まあなんというか「ちょっとだけキツいかも」との懸念が決してゼロではない可能性も優勢であると考えたわたくしは、「ボーナス併用払い」の検討も開始した。

わたくしは自営業者ゆえ、年に2回の「ボーナス」なんてものはいっさいない。だが年に2回ぐらいであれば、気合を入れて「毎月の支払額に10万円ぐらい上乗せして支払う」ことも決して不可能ではない可能性も優勢である。

そのように考えてシミュレーションを行ってみると、結果は「月々2万6000円ぐらいでイケる」ということになった。

「……勝った!」と思ったわたくしは、自分で創作した「歓喜の舞」をとりあえず踊りまくり、その足で近隣のシュテルンかヤナセまでGLC200の中古車を買いに行こうと考えた。

だが、ふと思った。「果たしてわたしは何に勝ったのだろうか……?」と。

そのまま7時間ほど考えてみたが、答えは出なかった。

それだけ考えても答えが出ないということは、きっとわたくしは「別に何にも勝っていない」ということなのだろう。

急激にすべてが馬鹿らしくなったわたくしは、何種類ものローン試算を書き込んだ手元の帳面をゴミ箱に捨て、スバルXVに乗って近隣のスーパーマーケットまで夕食の食材を買いに出かけた。

スーパーで購入した特売の豚ロースは非常においしかった。そして、それを買うために乗っていったスバルXVも、素晴らしく「おいしいSUV」であったことをあらためて思い出した。

わたくしは幸せだった。最初から、十分幸せだったのだ。

[ライター/伊達軍曹]