新型レヴォーグ!しなやかさとカッチリを兼ね備えた電子制御ダンパーの乗り味はいかに

過日。千葉県は幕張メッセにて開催された「東京オートサロン2020」にて、わたくしは(一応)SUVラボ所長を拝命している身ゆえ、場内のSUV各車をくまなく見て回り、いっちょう研究してこましたろうと思っていた。

だが同時に某社某メディアからの密命も帯びていたため、仕方なく途中11時にはスバルブースに潜入。プレスカンファレンスとやらを傾聴することになった。

今回の東京オートサロンでのスバルブースにはSUVが一台もなかったため、SUVラボ所長としてのわたくしは、さして興味もないままプレスカンファレンスを聞き始めた。だが途中からわたくしはいたく感動し、そして大いなる期待に打ち震えた。

プレスカンファレンスの内容、すなわち新型レヴォーグ・プロトタイプSTIスポーツの素晴らしさ(というか、正確には素晴らしいだろうという予感)に感動し、そして「これら新技術がもしも我がスバルXVに移植されたなら、果たしてそれはどれほど素晴らしいSUVになるだろうか!」という期待に打ち震えたのだ。

スバル初の電子制御ダンパーとドライブモードセレクト

新型レヴォーグ プロトタイプSTIスポーツの詳細について、車のニュースに敏感な人らはすでにご存じだろう。

2020年末に発売される(と噂されている)新型レヴォーグSTIスポーツの目玉は、スバル初となる「電子制御ダンパー」と、それを採用することで可能になった「ドライブモードセレクト」だ。

「電子制御ダンパー」は、ダンバー内部のバルブを電動でコントロールすることでオイルの流量を変え、ダンバーの減衰力を調整するというもの。そして「ドライブモードセレクト」は、乗り心地の良さを最大限重視するモードから、自分ひとりで硬派な走りを堪能したい際に有効なモードまで、何段階に分かれているのかはまだ不明だが、とにかくスイッチひとつで即座に変更できるというシステムである。

その字面だけを見るならば「ありがちなシステム」であり、似たようなモードセレクトを備えているBMW製SUVなどに、わたくしは腐るほど(?)試乗したことがある。

であるにもかかわらず、わたくしはなぜこんなにも感動し、こんなにも期待しているのか?

スバルの人が「イイ」と言うなら、それはたぶん本当にイイのだ

それは、新型レヴォーグ プロトタイプSTIスポーツの開発主査である五島 賢プロジェクトゼネラルマネージャーが「これは本当に素晴らしいんです!」と言い、そしてニュルブルクリンクSTIチーム総監督の辰巳英治さんが「その通り! これは本当に素晴らしい!」という意味のことをおっしゃっていたからだ。

……こう言っても、わたくしの真意はほとんど伝わらないだろう。会社の人が、自分のところの製品を「素晴らしいんです!」と言うのはある意味当たり前のことだからだ。そんなフレーズは、そこらの悪徳三流セールスマンでも日常的に言っている。

だが違うのだ。「スバルの開発の人がそれを言っている」という点に、本件は価値があるのだ。

世の中には口がうまい人というのも多いが、スバルの人たちは(特に開発系の人たちは)本当に朴訥というか天然というか嘘がつけない人たちというか、とにかく「いい車を作ること以外にはほとんど興味がない」みたいな感じの人々である。

そんな人たちのひとりである五島プロジェクトゼネラルマネージャーがあれだけ力強く断言し、そして「天然丸出し」な辰巳総監督があれほどキッパリ言い切るということは99.9999%の確率で、スバル初の電子制御ダンパーとドライブモードセレクトは素晴らしいはずなのである。

スバルXVを買ったときも状況は似ていた

余談になるかもしれないが、わたくしが私物としているスバルXVもそうだった。

わたくしが2017年の暮れにXVを買ったきっかけは、XVとは直接の関係はないOさんというインプレッサのエンジン開発主査に、まったくの別件でインタビューを行ったことだった。

インタビューの本題が終わったのちに世間話となり、その際にOさんは「今度のXVはかなり良いっすよ、マジで」と言った。や、そんな口調ではなかったが、そういった意味のことを、Oさんは熱心におっしゃった。

そのときにわたくしは思ったのだ。

「これほどまでに天然と言うか、いい車作ること以外はほとんど興味なしみたいに見える人が、これほど自信たっぷりに言い切るということは、そのXVとやらはさぞかしいい車なのだろう。よし、では買うことにしよう」と、わたくしは0.1秒で決意したのだ。

当時のわたくしは、まだ「輸入中古車評論家」というカンバンを掲げて輸入車関係の仕事のみをしていたため、国産車のことはよく知らなかった。それゆえ、2017年に登場したばかりのXVには乗ったことも触ったこともなかった。

だがOさんに対する「人間観察」のみで購入を決め、ディーラーでもちょいとしか試乗しなかったスバルXVは――乗ってみるとやはり素晴らしいSUVだった。

つまりわたくしは、スバルを信じているというよりも「自分の人間観察能力」を信頼しているのだ。

XVにドライブモードセレクトが採用されるのはいつか?

で、そんなこんなのスバルの人が素で自画自賛している初の電子制御ダンパーとドライブモードセレクトは、たぶん絶対に素晴らしいはずであり(ついでに言えば、辰巳総監督いわく新型レヴォーグ プロトタイプSTIスポーツはシートもマジで素晴らしいらしい)、それら新技術が近い将来のスバルXVに移植されたならば、それはもう世界を超えて「宇宙レベルに素晴らしいSUV」になることは約束されたも同然なわけである。

ということでわたくしは、それらダンパーやドライブモードセレクト、あとはシートやなんかが2021年半ばぐらいにはスバルXVにも採用されることを待ち望んでいるのだが……実際はなかなか難しいのかもしれない。

そもそも新型レヴォーグ プロトタイプSTIスポーツとXVとではフレームが異なり(新型レヴォーグはSGP+フルインナーフレーム構造で、XVは普通のSGP)、そしてXVは2017年にデビューしたばかり。登場から4年しか経過していない2021年に、フレーム構造の変更を伴うチェンジが行われる可能性は低いだろう。

となればまあ比較的遠い将来のフルモデルチェンジを待つしかないわけだが、それまでわたくしのメンタルが待てるかどうか? という問題はある。

ならばいっそのこと、新型レヴォーグSTIスポーツが正式発売されたあかつきにはXVを売り払い、ついでにSUVラボ所長を辞任するとともに「ステーションワゴン研究所」を立ち上げ、新型レヴォーグSTIスポーツを購入すると同時にその所長に納まる……という手もなくはない。

いや、SUVならではの万能性に身も心も慣れきってしまった今のわたくしには、やはり「ステーションワゴンに行く」という選択はできないかもしれない。

どうなるかは自分でもよくわからないが、いずれにせよ、ここ数日のわたくしはスバルの電子制御ダンパーとドライブモードセレクトに、乗ったことも見たこともないのに、ひたすら夢中である。

[ライター/伊達軍曹]