伊達軍曹のここだけSUV談義。XVに満足できるのは「時代が変わったせい」なのだ

いきなり始まった「伊達軍曹のここだけSUV談義」である。

……ネット上に記事を書くというのは「駅前に置かれている、誰もが読める掲示板に何か書く」ということにほぼ等しいため、「ここだけ」も何もないとは思うわけだが、まぁなんとなくパーソナルな感じで地味にSUV談義ができれば、と考えている。

XVの走りは本当に「インプレッサとだいたい同じ」なのか

で、2018年の5月にわたしは「SUVラボ」に「しかしSUVという乗り物はなぜ素晴らしいのか」と題する、愛車スバルXVに関する文章を掲載させていただいた。

その冒頭近くで書いたのはおおむね以下のような内容だ。

「現行スバルXVのオンロード性能ですが、素晴らしいですよ。あの走りはもうほとんど『群馬アウディ』とでも呼ぶべきレベルです」

「完全新設計のシャーシがもたらす安定っぷりは、比較的背が高いSUVとはぜんぜん思えないほどです」

……このように、現行型スバルXVのオンロードでの走りをひたすら絶賛している。

要するに「その走りは、背が低い(もしくは普通ぐらいの背丈の)車とほとんど同じなんです!」ということを、この筆者(というか私だが)は言っている。

それはまったくもって嘘ではなく、心の底から出た真実の声だ。

だが「まったくの事実」かと問われれば、実はそうでもない。

……当たり前ですけど、そりゃ走った感じに若干の差はありますよ! 普通の車とSUVでは!

XVとインプレッサの「直接対決」、その結果は?

具体的な事例で話そう。

SUBARUの某エンジニア氏から「新しいXVの走りは新しいインプレッサのそれとほとんど変わんないですよ~素晴らしいですよ~(大意)」と言われたわたしは、まずは近所のディーラーにてXVに試乗した。

そして「なるほど、某エンジニア氏のおっしゃるとおりだ」と感じたわたしは、その場でディーラーセールスM氏と真剣な商談を行い、即日契約した。

ちなみに某掲示板で「どうせギョーカイ値引きみたいなのがあったんだろ」とか書かれているが、残念ながら(?)それはいっさいない。ごく一般的な値引きのみだ。ちなみにディーラーの担当M氏が、わたしが実は自動車ライターだと知ったのは、カネを払って納車されてから3カ月後ぐらいだった。

話がそれた。戻そう。

「この新型XVってSUVは、ベース車両である新型インプレッサとだいたい同じような感触だ!」と思ったわたしはXVを買い、そして大満足しながら2カ月ほど乗った。

そしてそんなある日、とある雑誌の企画で「自前のXVで撮影現場に行き、広報車のインプレッサに乗り替える」みたいな仕事をわたしは請け負った。

購入時は「記憶のなかのインプレッサの走り」と、今そこにあるXVの走りを脳内で比較したわけだが、今度は「XVからインプレッサにその場で乗り替える」だ。……両者の差は、あるいは差のなさは、いかほどに感じられるのだろうか? 自分でも、そこに興味があった。

で、取材当日。XVからインプレッサに乗り換えた。

……そりゃまあやっぱぜんぜん違いましたわ。

着座位置が違うとか(もちろんインプのほうが低い)、広報車のインプレッサはタイヤ径が18インチだったとか(わたしのXVは2.0i-Lなので17インチなのだ)、いろいろあるが、「そもそも」がやっぱ違うよね。インプレッサは非っ常にタイト。どことなく金庫っぽいですよ、走らせたときの感触が。

それに対してXVは、もちろん十分タイトだと思っていたわけだけど、直接比べちゃうと「ふわふわ」です。や、こんな書き方するとXVマニアに怒られるかもしれませんね。話がわかりやすくなるように、あえてちょっと大げさに書いていることをわかっていただけましたら幸いです。敬具。

それでも「だいたい同じ」と言い切る理由

で、「インプと比べちゃうとさすがにふわふわだな~」と思ったわたしは、XVというSUVに幻滅しただろうか?

結論を言えば、まったく幻滅しなかった。「これでぜんぜんいいじゃないか!」と、むしろ確信と好意を強めたのだ。

わたしが年をとって中高年になったがゆえに「スピード」とか「タイトな走り」とかにさほど興味を持てなくなったから、というのもあるだろう。

だがそれ以上に「時代が変わったせい」なのだと思っている。

スピードこそが正義、スポーツカー全盛……みたいな時代が過去にはあった。もしもわたしがその時代に生きている人間であったなら、もしかしたらXVに幻滅したのかもしれない。

だが今はそんな時代ではない。公道でスピードを出したところでキャーキャー喜んでくれる男女などどこにもおらず、逆に馬鹿者扱い、危険人物扱いされるだけの時代だ。

そういった状況下では、「普通の車よりほんのちょっと落ちるぐらいのタイト感」でも「ぜんぜん十分!」と感じられるものだ。

もちろん「普通の車より断然落ちるタイト感」であったならば、そのSUVは思わず東京湾に沈めて捨てたくなるだろう。だが幸いにして現行型スバルXVはそうではなく、あくまで「ほんのちょい落ち」程度なのだ。

そしてXVに限らずその他の新世代SUVも、どれもだいたいそんな感じである(もちろん、車種によってはそうでもなかったりするが)。だから、それでいいのだ。十分以上にシアワセなのだ。

以上が、「比較的背が高いSUVとはぜんぜん思えないほどです」という24文字から成る短い文章の、真意というか完全版というか「ディレクターズカット」である。

普段は長くなるのでこんなことはいちいち書かないが、「ここだけ」ということなので、あえて書かせていただいた次第だ。

[ライター/伊達軍曹]